コーヒー豆の精製方法って?ウォッシュトとナチュラルの違いとは?

コーヒー豆の精製方法って?ウォッシュトとナチュラルの違いとは?

「ウォッシュト」「ナチュラル」「〇〇プロセス」など……コーヒー好きなら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。コーヒーの味を大きく決めると言ってもいい精製方法、これを知ればあなたのコーヒーライフがもっと充実したものになること間違いなし!今回はコーヒーの精製方法とはなにか、それぞれの特徴や違い、どんな味わいが楽しめるのかを解説します。

1.コーヒー豆の精製方法とは?

そもそも、「精製方法」とはいったい何なのでしょうか。

簡単に表現するなら、「コーヒー豆をコーヒーの果実から取りだす方法」と言えるでしょう。

一体どういうこと?と思ったそこのあなた!精製方法を知るには、まずコーヒーがどのような植物で、どのように育つのかを知る必要があります。

「コーヒー」という植物

「コーヒー」と聞いて頭に思い浮かぶイメージは茶色いコーヒー豆かもしれませんが、実はそのコーヒー豆は植物の「タネ」なのです。

「コーヒーノキ」に実る「コーヒーチェリー」という果実から、果肉等を取り除き種だけにする過程。これがコーヒーの精製方法と呼ばれているものです。

また、コーヒーの精製は「生産処理」などと呼ばれるほか、「プロセス」と表現されることも多いのですが、コーヒーチェリーからコーヒー豆を取り出す「過程、手順(=process)」と考えれば、納得ですよね。

コーヒーチェリーの構造

コーヒーの精製方法を知るうえでは、コーヒーチェリーの中身を知ることも重要です。

コーヒーチェリーは、大きく分けて外側から、果実の皮果肉ミューシレージ(粘液)パーチメント(タネの皮)コーヒー豆(タネ)、となります。余談ですが、コーヒーチェリーのなかにコーヒー豆は基本2粒ずつ入っています。

ここで重要なのが、コーヒー豆の周りにあるミューシレージと呼ばれる粘液。

このミューシレージの取り除き方で、精製方法が大きく分かれていきます。

コーヒーの焙煎とは?

コーヒーチェリーから取り出したコーヒー豆は、やや緑がかった黄色をしており、生豆(なままめ)グリーンビーンズと呼ばれます。

これに熱を加えることを焙煎と呼び、この焙煎によって、私たちになじみのある茶色いコーヒー豆が出来上がるのです。

2.押さえておきたいコーヒー豆の精製方法・3選

精製の定義やコーヒーチェリーの構造が分かったところで、本題の精製方法の種類についてみていきましょう。

近年は技術進歩により、個性あふれる様々な精製方法がみられるようになりました。

精製方法はどれが優れているかというよりも、好みによって選ぶべき要素です。今回はその中でも基本中の基本、これだけ知っていればぐっとコーヒーが楽しくなる3つをご紹介します。

  ① ウォッシュドプロセス(水洗式)

  ② ナチュラルプロセス(乾式)

  ③ ハニープロセス(半水洗式)

①水で洗う『ウォッシュト(水洗式)』

ウォッシュトプロセスは、その名の通り水に漬ける・洗うという点に特徴があります。

コーヒーチェリーの果肉を機械などで取り除いたあと、水に漬けてミュシレージを分解し除去します。
その後さらに水でしっかりと洗い流し、乾燥させてパーチメントを機械で除去すると、ウォッシュトプロセスの生豆のできあがりです。

大量のきれいな水で洗うため、水槽や水源など様々な設備が必要です。排水の処理も行うため、ウォッシュトプロセスは多くの手間をかけて行われています。

特徴:酸味が際立ち、クリアな味わいのコーヒーになりやすい。
メリット:豆本来の純粋な味を引き出しやすい。欠点豆の混入が少ない。

②天日干しの『ナチュラル(乾式)』

ナチュラルプロセスは、ウォッシュドとは異なり水を使わず、コーヒーチェリーをそのまま天日干しする伝統的な精製方法です。

しっかりと乾燥させたコーヒーチェリーをそのまま機械で脱穀し、果肉・ミュシレージ・パーチメントを取り除けば、ナチュラルプロセスの生豆の完成です。

乾燥の過程で発酵が進み、甘みや果実の香りがコーヒー豆に移ります。

特徴:精製由来の甘さやコクがあり、豊かな風味のあるコーヒーになりやすい。
メリット:水をほとんど使わず環境に優しい。

③ミュシレージがポイント『ハニープロセス(半水洗式)』

ハニープロセスはウォッシュトとナチュラルの間を取ったような精製方法で、パルプドナチュラルと同一視されることもあります。

初めに果肉を除去するところから始まりますが、ミューシレージを完全に分解除去せず、一部残したまま乾かすというのが大きな特徴です。

さらに、ミューシレージをどのくらい残すかによってさらに細かく分類でき、
ミューシレージが多い順に、ブラックハニー>レッドハニー>イエローハニー>ホワイトハニー、と呼ばれます。

ブラックハニーはナチュラルプロセスに、ホワイトハニーはウォッシュドプロセスに近い味になります。

特徴:クリーンさと甘さを両立した風味になりやすい。
メリット:ナチュラルと比べて欠点豆を事前に除去できる。

ご存じですか?「アナエロビック・ファーメンテーション」

「アナエロビック・ファーメンテーション」。コーヒー好きなら聞いたことがあるかもしれません。

アナエロビックを日本語にすると「嫌気性」、ファーメンテーションは「発酵」。

つまり、空気(酸素)に触れさせないようにコーヒーチェリーを密閉タンクの中で発酵させる、というのがアナエロビックの特徴です。
ちなみに、タンクで発酵させる際に二酸化炭素を充てんすると、「カーボニックマセレーション」という別の発酵方法になります。

アナエロビックはあくまで発酵の名称であり、発酵させた後どのように生豆にするのかで「アナエロビックナチュラル」、「アナエロビックウォッシュド」などプロセス名で分ける場合が多くなっています。

発酵の過程で独特の風味になりやすく、精製によってユニークなフレーバーを作ることができるのが特徴です。

3.精製方法がコーヒー体験に与える影響

精製方法を知ることは、自分好みのコーヒーを見つける第一歩です。さらに、お気に入りの豆の味を最大限に引き出すためには、適切な抽出方法と器具選び、さらにはコーヒーを堪能するシーンを考えることも重要です。

おすすめの抽出器具

同じ農園・品種で豆でも、精製によって風味は大きく異なるため、自分好みの味わいに近づけるには、抽出を調整することが必要になります。

コーヒーの味わいを自在に調整したい人におすすめなのが、「V60 透過ドリッパー」と「V60ドリッパー SUIREN」です。

V60 透過ドリッパー02 クリア

V60ドリッパー SUIREN

この二つのドリッパーには以下の特徴があります

特徴:

大きなひとつ穴によりお湯抜けが早いため、注ぎによって抽出速度をコントロール可能
スパイラルリブ構造が抽出中のコーヒー粉の膨張を妨げず、蒸らしがしっかり行える。

味の調整ポイント:

素早く注ぐ → すっきりとした味わい。
ゆっくり注ぐ → コクの深い仕上がりに。

ウォッシュトとナチュラル、それぞれに合うシチュエーション

精製方法によって風味の傾向に違いがあるので、それぞれ適したシチュエーションを選択することでコーヒーライフがさらに豊かになります。あくまで一例ですが、以下にご紹介します。

ウォッシュトが合うシーン

朝のすっきりした一杯が欲しいとき
軽めのデザートやフルーツと合わせたいとき

ナチュラルが合うシーン

リラックスした午後のひととき
チョコレートやナッツ系のお菓子と楽しむとき

4.【まとめ】コーヒー豆の精製方法による味の違い

今回は、精製方法の基本知識と味の違いをお伝えしました。

ここでは紹介できませんでしたが、もっと複雑な精製方法や発酵方法がどんどん生み出されており、日々品評会やコーヒー業界で話題になっています。

今回ご紹介した基本的な知識をベースがあれば、きっとコーヒーの世界はより身近に、より面白く感じられるはず。コーヒーの専門店で購入すると、必ずと言ってよいほどラベルに記載のある「精製方法」、これからはぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。


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